TOP > スペイン口福の裏通り > アンダルシアのお花見

Tapas

サブカテゴリ:スペイン口福の裏通りアンダルシアのお花見

スペイン口福の裏通り


スペインも1、2月は寒い。この季節の風物のひとつにオリーブの収穫がある。一口にオリ-ブといってもかなり種類もあり、用途によって収穫期も異なる。しかし圧倒的に収穫作業を見かけるのはこの季節だ。昨年末の韓国取材の折に聞いたのだが、オリーブは納豆、豆腐、キムチ、ヨーグルトと並ぶ世界5大健康食品なんだそうだ。そういえば、かのアルプス越えでローマを攻めたハンニバルを支えたのがオリーブ・パワーだったと伝えられ、のちアンダルシアはローマへのオリーブ供給地となった(いや、今もそうらしい)ばかりか、スペインでの1億200万本のオリーブの樹のうち約8000万本がアンダルシア地方にあり、約20万人がオリーブ産業に関わると言われる。もっともこの数字少しばかり古いのだが、大勢は変っていないだろう。アンダルシアでもハエンはとりわけオリーブの樹が多く、見渡す限りのオリーブ畑が山肌を埋めている大産地だ。

オリーブの枝葉はオリンピックのシンボルでもあり、ノアの箱舟に入れられたのもオリーブだったから、昔からオリーブの価値は高く評価されていたわけだ。液体の黄金とも呼ばれ「ドン・キホーテ」の話の中でも薬効についてしばしば述べられ、ドン・キホーテも自らオリーブオイルの軟膏を調合している。
しかし、その反面オリーブ栽培はほとんどが人力頼みの素朴な方法による。何といっても写真でもわかるように、乾燥した岩山の急斜面にまで畑が広がっている。これでは機械化も難しい。収穫は樹を揺すぶる機械を使って実を振り落とすのだが、今でも家族総出で実を叩き落すやりかたのところも少なくない。写真はコルドバの近くで出会った家族で、丁度オンセ(10~11時頃のおやつ)の休息時だった。彼らの作業を見ていると、オリーブオイルの一滴一滴がとても貴重であることを実感する。

この季節のもう一つの風物詩がアーモンドの花。その淡いピンクの花は日本の桜にも喩えられる。ポルトガルのアルガルヴェ地方の町シルヴェスには、北欧の姫を妃に迎えたムーアの王子が、城の周りにアーモンドの樹を植え、咲き乱れる花で雪の代わりにし、故郷を偲ぶ妃を慰めたという逸話が伝わっている。
私が感動したのはアンテケーラからマラガに下る国道A-45。何度通っても胸打たれる。谷あいの急な下り坂の道だが、両側にアーモンドの花が咲き乱れている。悪路だった数十年前に比べ、改善された道は交通量も激しく、ゆっくり風景を味わうことも出来ないが、バスの車窓からならじっくり堪能できる「アンダルシアのお花見」なのである。


ohanami1.jpg
見渡す限りのオリーブ畑

ohanami2.jpg
オリーブ

ohanami3.jpg
オリーブの木の下で

ohanami4.jpg
アーモンドの花盛り


<文・写真 ペペ・デル・カンポ>

ページトップへ