サブカテゴリ:スペイン口福の裏通りガリシアのシル渓谷に見たワインづくりの執念

異国の取材に出ていたために、残念ながらホテル・オークラでパラドールの味を体験する機会はなかったが、前回触れられなかったガリシアの話題をもう少し。
コルドバではモンティーヤ・モリレス、セゴビアではルエダと、スペインの白ワインを楽しみながらの旅は、ガリシアで最終ラウンドを迎えた。言わずもがな白ワインのエース、アルバリーニョとリベイロの産地である。そしてスペイン最大を誇る水産業の拠点だ。
当然シーフードで名高い。そして魚介料理によく合う白ワインが多くつくられているのも当然と言えばしごく当然なわけだが、リベイロが中心だったガリシアのワインは決して高い評価を得ていたわけではなく、バルでプルポ・ガジェゴなどをツマミながら、クンカと呼ばれる大型のお猪口のような器で飲む凡庸なワイン・・・だった。
と言うのは昔の話。醸造技術の進歩とEU経済の変動から投資も増え、ガリシアのワインが国際マーケットに知られるようになったのが80年代の終わり頃だったという。とりわけアルバリーニョの人気上昇が目覚しく、今では世界の高級白ワインと肩を並べる。むろん使われるブドウはアルバリーニョが中心で、手間のかかる品種なのだとか。
その昔、サンチャゴ詣でのドイツの巡礼が持ってきたと伝えられたブドウだが、近年のDNA調査で古来の品種だと判明した。ちょっと夢を壊された感じがなくもない。ともあれ、日本人好みの魚介料理と相性のいいのだが、日本での知名度はまだまだのようだ。
プルポ(蛸)にしろ、マテ貝、ムール貝、亀の手、海老、蟹などガリシアの海の幸はバルで味わうのが一番だと勝手に信じているが、パラドールではチョットおしゃれにアレンジしてあり、アルバリーニョの味わいも格別なものとなる。
一方、輸出が多いアルバリーニョに対し、地元消費向きのリベイロも健闘している。
オウレンセに近い町リバダビアの案内所には地産の銘柄がズラリ並ぶ。ミーニョ川に注ぐシル川の渓谷を行くと、この辺りはリベイラ・サクラと呼ぶDOでブドウのほとんどがゴデージョだと言う。
河岸に迫る花崗岩剥き出しの急斜面に、張り付くように点在するぶどう畑は、土地の人々のワインへの執着を思わせる感動的な風景だった。

シル渓谷

リベイロ

マリスコス
<文・写真 ペペ・デル・カンポ>


