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Bodegas

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シェリーを造る人


ヘレスのマドンナ、ピラール・プラ嬢のボデガ「マエストラ・シエラ」を出てすぐ右隣にも白い壁の建物が連なっている。これもボデガだ。昔から二軒並んでいた。

こちらは「カイェタノ・デル・ピノ」というボデガだ。たいていいつも小さな緑の扉が開いている。扉のなかをのぞくとブーゲンビリアが咲き誇っていて美しいが、いつもシンとしている。白い書類でいっぱいの机に白いパソコンが載っている白い事務所に一人おじさんがいる。

「こんにちは」と声をかけると、ちらっと目を上げて「やあ、お入り」と招いてくれた。これが「カイェタノ・デル・ピノ」の社長のヘラルド・デル・ピノだ。

何年か前にも同じように勝手に入って、ご挨拶して、お話してきたことがある。彼は私を覚えていて(多分、外国人が訪れることなどめったにないのだろう)「見ての通り、前と何もかわってないよ」と笑いながら言った。

ここは彼で4代目になるボデガだ。といっても現在は出荷していないのでブランドはない。アルマセニスタだ。アルマセニスタとはシェリーを熟成するだけで、自社で製品化しないボデガのことだ。普通は大手のボデガにバルクで納める。

彼の一家はシェリーで生計を立てているわけではない。穀物の畑を持っていて、そちらが本業だ。ぶどう畑も持っていたが、5年前に栽培を止めてしまった。そしてシェリーを売るのも止めてしまった。売らないから樽の中のワインの移動はない。定年退職したカパタスがときどきチェックしにくるだけだ。

ボデガに入ってみた。前とまったく同じだ。だが「ひとつだけ違うことがあるんだよ」という。それはフィノがなくなったことだった。出荷しないということは熟成したワインをソレラから出さないということで、ソレラからワインが出て行かなければ、クリアデラのワインを出してソレラに補充することはできない。したがって、新しいワインが全然入ってこないことになる。つまりシェリー特有のクリアデラとソレラのシステムが機能しなくなってしまうということだ。フィノは維持できない。そこで彼はフィノにアルコールを添加して、全部アモンティリャードにしてしまったのだ。
 
「今はただじっと熟成させているだけ。古いワインとして高く売れるのなら出荷してもいいけどね。それまで耐えないと。」という。「じゃ、そのうち最高級シェリーとして売り出せばいいのね!」と勝手に結論付けた。そうしましょう、ヘラルドさん!

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<あけひ>

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